乙訓(おとくに)といえば竹とたけのこ

永く厳しい冬が終わりを告げ、ほのかな暖かさを肌で感じる頃、たけのこの息吹きも確かな手ごたえを伝えてきます。
春一番、まさしく季節の移り変わりを第一に伝えてくれるたけのこは、乙訓地方の特産品として三百年以上も農家の手によって支えられてきました。
 
竹にも様々な種類がありますが、乙訓にある竹の大半を占める孟宗竹から生まれる“たけのこ”の特徴は、光るような白さと軟らかさ、そして風味と言われています。
これは毎年毎年行われる“敷わら”“土入れ”という作業によって土地がだんだんかさ上げされ、地下茎から芽を吹いたたけのこがより長く地中で生長するようにした乙訓伝統の技術によるものです。
特に本市北部にある物集女地域のたけのこは、「物集女のたけのこ」として全国的にもその名を轟かせています。
また、市内の保育所・小学校では四月半ば頃、給食に旬のたけのこ料理が登場し子どもたちを喜ばせています。
一方竹林としての利用にも様々な工夫がなされています。
成長途中の竹に木の枠をはめて四角にした角竹、表面に模様をつけた図面竹、火であぶり青味を抜いた晒(さらし)竹(だけ)…
こうした竹は総じて京銘竹と呼ばれ、しなやかさや強じんさ、さらには加工しやすい竹の特徴を生かして伝統工芸品である竹工芸品のほか、昔から様々な分野で活用され、京都だけではなく、竹筏で川を下り大阪へも出荷されていました。
その技術は現在にも受け継がれ、床柱や茶道具用具などいずれも優れたデザインと品質を誇っています。

暮らしにいきづく『竹』

竹は古くから私たちの暮らしに溶け込んできました。
 
現在では、暮らしに潤いと安らぎを与える工芸品や内外装品として広く利用されています。
 
これは竹の持つ独特の青味、強靭さと対照的なしなやかさなどが、身近かに自然を取り入れたいという人々の願いと一致したからでしょう。

茶華道と竹

茶華道と竹は切っても切れない関係にあります。 晒竹のかれた味わいや爆竹の落ち着きある黒さなどは侘びた趣きを感じさせ、編んだ籠の美しさも心に安らぎを覚えさせます。

京銘竹の加工

竹材に適した風土と、すぐれた技術があいまって、優秀な京銘竹がつくられます。
【枠入れ】
竹が50mぐらい伸びたところで木の枠を四角にはめます(角竹)
【紋付け】
泥に薬品を混ぜ、長い棒の先につけ竹に塗りつけてゆきます。泥のついた所が模様となるため熟練を要します(図面竹)
角竹としたあと紋付けをする場合があります(図面角竹)

“たけのこ”がとれるまで

  • 敷わら

    毎年11月から翌年1月にかけて、稲わらを竹やぶ一面に敷き、その上に土を均一に乗せます。やぶの中へは機械も入りにくいためほとんど人の手によってなされておりたいへん厳しい仕事です。
  • 土入れ

    土入れに用いる土は、やぶの一部を準じ掘りくずして作業には機械も導入され、省力化が図られています。
  • 掘りとり

    ほり とよばれる道具を使って朝早くたけのこを掘ります。
    3月頃から、たけのこがまだ地表に現れないうちに地面のひび割れを見て掘りとるため、非常に熟練した技術を要します。
  • 掘りたてのたけのこ
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